【ナニワあの事件この事件】信者の男が教会に消火器を投げ込み続けたワケは… 2010/12/30 10:34
日本最大のヤミ券売り場や無許可ナイトクラブの摘発、信者の男が教会に消火器を投げ込み続けた事件…。大阪・ナニワでは平成22年も、さまざまな事件が発生した。「体感治安の悪さ」が揶揄(やゆ)される大阪だが、ひったくりの昭和51年以降34年連続ワーストという不名誉な記録を返上しそうという明るいきざしもみせるなか、大阪府警が扱った“象徴的”な事件を振り返った。
ヤミ券売り場で無料で食事提供
大阪・西成あいりん地区で平成22年10月、大阪府警捜査4課が日本最大のヤミ券売り場「福助」を摘発した。
福助は、無料で食事を提供し、200円から賭けを受け付ける、生活保護受給者らの“憩いの場”となっていた。その一方で月に1億5千万円以上の売り上げがある山口組弘道会の主要な資金源でもあった。
10月6日午後2時過ぎ、大阪府警は火薬の扱いにたけた捜査1課特殊班「MAAT」を投入し、店の鉄製扉を爆破して突入した。
家宅捜索開始から約1時間、摘発された客が福助から近くの西成署に任意同行されたが、その隊列は100メートルを超え、周囲は異様な雰囲気に。それを見守っていた男性はこうつぶやいた。「きょうはいっとかんでよかった」
福助は午前9時から店を開き、朝はおにぎり、昼はカレーライスなどが無料で出された。生活保護費が支給される月初めには、300人以上の客が詰め掛け、フロアに入りきらないほどの盛況ぶりだったという。
大阪府警の爆破を伴う摘発を受け、しばらくの間、付近の同業者は鳴りを潜めた。ただ、福助に出入りしたことのある男性は「ほとぼりが冷めたら、また(ノミ行為を)始めるやろ」。
摘発から約2カ月。あいりん地区では、男性の予想通り、複数のヤミ券売り場が営業を再開している。
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若者文化か迷惑施設か
「店長おる?」
耳をつんざく重低音が響く未明のクラブ店内。摘発開始を店員に告げたのは、客にまぎれて潜入していた数人の私服捜査員だった。
無許可でナイトクラブを営業したとして、大阪府警が12月6日、ミナミのアメリカ村(大阪市中央区)のクラブ「アズール」など2店を家宅捜索し、経営者(30)と店長ら男3人を風営法違反容疑で逮捕した。アメリカ村には約20のクラブがあり、明け方まで続く騒音や酔った若者らによるケンカの頻発などから、我慢の限界に達した住民が取り締まりを求めていた。
当時アズール店内の客は200人以上。捜査員が店長にダンスフロアを指し、「違反になるからな」と逮捕することを告げると同時に、入り口から約40人の本隊がなだれ込んだ。
客にダンスの場と飲食を提供するクラブ営業は、風営法上の許可が必要だ。しかしアメリカ村のクラブはそのほとんどが飲食店として営業。風営法上のクラブ営業許可では午前1時までしか営業できず、飲食店では客にダンスをさせることはできない。
「もっと大きな店が先にいかれると思った」。経営者の男の供述からは、違法性を認識しながら“様子見”の営業を続けていたことがうかがえる。
地元自治会の男性役員は訴える。「若者が集まるのはアメリカ村の大切な文化だが、今のままではクラブは街にとって迷惑でしかない」
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教会に消火器投げ込む
「自分の不幸は神の仕業だ」。そう思い込んだキリスト教信者の男は、屈折した怒りを教会へぶつけた。
20年夏以降、近畿各地のキリスト教の教会などに相次いで消火器が投げ込まれた事件。大阪府警が22年7月に逮捕したのが、キリスト教信者の池田康政被告(30)=器物損壊罪などで起訴=だった。
池田被告とキリスト教との出会いは23歳のころ。偶然見かけた十字架にひかれ、教会を訪れたのがきっかけだった。牧師を慕って熱心に教会に通い、礼拝も欠かさなかったという。
だが、20年にこの牧師が海外留学すると、「裏切られた」と口にするようになり、教会に姿を見せなくなった。一連の襲撃事件が始まったのは、ちょうどそのころだった。
「神に自分の話を聞いてほしかった」としてはじまった犯行は当初、教会に石を投げつける程度だったが、「神がなかなか気づいてくれなかった」ため、エスカレート。消火器を投げ込むとともに、複数の教会に犯行を予告するような手紙も送るようになった。
池田被告は、逮捕後の取り調べに「不幸は神のせいだと思った」「牧師に願いを聞いてほしくてやった」などと供述したが、とっぴな動機に捜査関係者も首をかしげる。一体何が熱心な信者に火をつけたのだろうか…。